"Choice Theory" (選択理論心理学)ブックレビュー(2)
今回は"Choice Theory"(『選択理論心理学』)の「落ち込み」と「怒り」の関係についてまとめます。
グラッサー博士の"Choice Theory"では「落ち込む」という意味のbeing depressedを「自分で選んでいる感情」というニュアンスを出すためにdepressingという形で表しています。
このdepressingという状態を選択する理由について、とても興味深い考察があります。
"Although we are not aware of it, depressing is also one of the most powerful ways that human beings have discovered to restrain angering, and all of us use it a lot." (p. 80)
つまり、人は「怒り」の感情を抑えるために「落ち込む」という感情を選択することがあり、私たちは頻繁にそうしている、ということです。
怒りを抑え込まなければ、暴力や殺人といったより大きな問題に発展しかねないため、depressingすることでangeringを抑え込み被害を防いでいるというのです。
「落ち込み」と「怒り」の間の関係をこのように説明されると、今まで自分の身に降りかかったことや、自分のした失敗についても理解ができたように思います。
ここでグラッサ―博士はdepressingの対処方法として再度次のように述べます。
"To depress, you have to keep thinking the unhappy thoughts that keep one or more of the three reasons to depress going. To stop thinking these thoughts, you have to do what I have been suggesting all though this book: change what you want or change your behavior." (p.83)
本文中の"the three reasons"や"these thoughts"とは、大まかに言うと「自分は他人をコントロールできる」という考えを指します。
「他人が○○してくれないからdepressingだ」という状態から抜け出すために、change what you want or change your behaviorを提案しています。とにかく少しの間だけでもdepressingではない選択をしなさい、ということです。例えば散歩や軽く走ることが例として挙げられていました。
depressingでさえも「自分の選択である」という一貫した考えが斬新だなと思います。
確かに、落ち込んでいる時に誰かに話を聞いてもらおうとしたり、体を動かしたりすると大分気持ちも軽くなって、次のことに集中できることがよくあります。
あくまでも「他人をコントロールしようとするのではなく、自分の生き方を自分でコントロールする。」ということが今回の事例からもよく理解できます。
Reference
Glasser, W. (1998). Choice Theory: A New Psychology of Personal Freedom. HarperCollins Publisher.